目次
あなたは獺祭(だっさい)の魅力を本当に知っていますか?
日本酒を飲まない私、勘定姫がまるで喉がカラカラに乾いているときに名水を一口飲んだ時のような錯覚に囚われたお酒、それが獺祭。
とても人気のあるお酒で お店でもなかなか飲めないと言うことは知っていましたが、注文して2ヶ月以上待たされても飲みたいほどの価値があるのかしらと思っていたのです。
突然訪れた、今までの日本酒観を見事に覆された奇跡のお酒獺祭との運命の出会い!
勘定姫をとりこにした獺祭の4つの魅力を解き明かすにつれ、一時は社長が借り入れの返済に自身の保険金を考えるほどの経営危機を乗り越え、世界へ躍進する酒造へと躍進した本当の魅力が明らかになってきました。
急成長の獺祭誕生~歴史
獺祭の蔵元旭酒造はもともと旭富士という普通酒を販売していました。
現在の桜井社長が父親の後をついだ84年は日本酒の消費量減少や酒造の半減などで業界は衰退ムード。
他の蔵元のお酒は売れていても旭富士は売れません。
そこで普通酒から大吟醸酒だけの生産に方向転換し6年の間吟醸酒作りを目指して試行錯誤、失敗を重ねようやく1990年に獺祭が販売されました。
しかし業績は思ったようにあがりません。桜井氏が社長に就任した翌1985年の出荷量は126万kl、2005年に216万klと微増です。
◆新規事業の失敗
桜井氏は地ビール醸造とレストラン経営に手を広げましたが失敗し多額の借り入れを抱えて事実上の倒産状態、廃業寸前に追い込まれ金融面でも不安がおこります。
自分の保険金はいくら入るのか、借り入れの返済に充当できるのか、といったことしか考えらない状態のなか生活を切り詰めて借り入れの返済をしていました。
更に悪いことに1998年、酒つくりに来ていた杜氏が経営危機に不安を覚え次の年は帰ってきませんでした。
◆転機
数日後、社長の桜井氏は酒つくりを諦めるのではなく、自分が作りたい酒を自分たちで作ろと決断したのです。
日本酒作りには杜氏がかかせない、という常識を覆したところが桜井氏のすごいところ。酒つくりには全くの素人だったことも新しい可能性への挑戦が出来た要因の一つでしょう。
また、酒つくりといえば冬の間だけだったのが一年を通じて生産する四季醸造が出来るようになり、生産能力も増えました。
◆販売戦略
旭酒造は小さな酒造です。それを強みにしたのが小規模な仕込みでないと高品質が保てない大吟醸だけに絞ったこと。
そして「地元山口では売れない、東京にいかなければ食えない」という危機感も獺祭躍進の要素。
いくら良いお酒が出来ても飲んでもらえなければ売れません。経営が良くなければ会社の運転資金を銀行から借り入れるにも大変な苦労が合ったことでしょう。
社長自らが酒造やレストランをまわり、頭を下げて獺祭を置いてもらう営業をし東京市場の開拓に成功したことも大きいと言えます。
獺祭発売から約10年は低迷が続きましたが、2005年は216万klだった売上は2010年に776万kl、2013年には2052万klと爆発的に売上を伸ばしています。
*種類食品統計月報より
獺祭のターゲット層
日本酒の従来からの客層とかぶらない客層、今まであまり日本酒を飲まなかった若者や女性、海外をターゲットにした戦略も急成長を後押ししています。
2002年、台湾に初の海外進出、翌2003年にはニューヨークの日本食レストランに売り込みました。
ワインショップなどにも置き始めドバイ、香港、イギリス、フランスなど20カ国に進出して売上の1割が海外となっています。
経営が上向けば借り入れも先方から売り込みに来るのが常。海外進出や新蔵建設にかかる資金も調達しやすくなります。
桜井社長は「投資は利益の1割」としています。過剰投資で借り入れが膨らみ健全な経営が出来ないとの判断でしょう。
最近の獺祭ブームで販売店や飲食店、一般のお客様に大きな迷惑をかけていることも真摯に捉え公にお詫びをしているのですが、そういった人間性も獺祭の魅力の一つです。
獺祭 Bar 23
高級化路線で世界進出を見定めて、昨年5月には東京、京橋にショップとバーを組み合わせた直営店「獺祭 Bar 23」をオープンさせ獺祭の進撃は止まるところを知りません。
8月にはフランスに出店予定、更にロンドン、ニューヨークも見据えています。アメリカに大きな影響力があるフランスでしっかり売って一番大きなアメリカ市場での販売につなげ海外の売上比率を5割まで挙げることを目標としています。
業績を急上昇させた4つの魅力
獺祭は山口県の旭酒造が1990年に売りだした純米大吟醸酒です。スッキリとした香りの良いフルーティな味わいで日本酒を飲んだことのない人、若者や女性にも飲みやすく日本酒の概念を変えたお酒、と言えます。
伝説とも言える「磨き二割三分」が最高レベル*ですが、普段飲むのには「純米大吟醸50」 がお勧めです。+3のやや辛口、上品でまろやかな含み香がありフルーティーで優しい甘味が魅力です。
日本酒党には獺祭は「料理の味を損なう」と辛口の批評も少なくありませんが、お酒そのものを味わうというコンセプト、従来の日本酒文化と同等には考えられない新たなお酒と言えます。
1.磨き二割三分
獺祭を世界にひろしめた「磨き二割三分」は最高の酒造米と言われる兵庫県産特A地区山田錦を23%まで磨き上げた他を圧倒する上品で魅力的な上立ち香と含み香を持った最高峰の純米大吟醸です。
*二割三分を超えた「獺祭磨きその先へ」も発売されましたがドンペリ並みのお値段。OLのお財布には正直キツイ…
2.幻の焼酎
上司に連れられて言った銀座のブランドビルの地下で偶然見つけた「獺祭焼酎」。焼酎なんて合ったかしら、と思いつつ注文した一杯。それが私と獺祭の運命の出会いです。
大吟醸も生産が注文に追いつかない状態ですが、こちらの焼酎はもっと幻!口に出来たのはまさに奇跡と言えるでしょう。
3.最高峰の酒造米山田錦
原料になる酒造最適米と言われる山田錦は、普通のお米と比較すると育てるのが難しく生産量が確保できないという問題が有り、生産農家自体も少ないのです。
そこで原料米の生産量を増やすために富士通の食・農クラウドサービス「Akisai(秋彩)」と提携して農家の支援を始めました。
IT化に伴う機器の導入費は農家が借り入れすること無く、朝日酒造が負担することで参加する生産者を増やし5年後には今の5倍の山田錦を確保したいと計画しています。
旭酒造は県や農協に縛られず、日本中から良いお米を自由に買ってくることが出来るのも強みです。
4.経営手腕、発想の転換
日本酒作りといえば熟練の杜氏の存在が大きいですが、獺祭を生産している旭酒造にはいわゆる杜氏がいません。通年勤務の若い社員が生産しています。
桜井社長の死ぬか生きるかと言う窮地の際のアイディアが世界へ躍進する会社へと成長を遂げたのです。
いかにして目の前の危機を乗り越えるか、その連続が日本酒の未来図をも見据える会社へと導きました。
古いものでも使えるものは使うという節約をする一方で身の丈に余る高額な設備も必要とあらば借り入れをしてでも導入する判断力も見事です。
社長の獺祭への想いや会社のことをホームページや著書「逆境経営」などで知れば知るほどますます獺祭のとりこになってしまいます。
獺祭のとりこ勘定姫
昔夏のキャンプで信じられないほど美味しい日本酒(銘柄は覚えていません)を口当たりが良いため飲み過ぎて、その夜満点のお星様がぐるぐる回って大変な思いをして以来トラウマとなり避けていた日本酒。
今まで本当にお酒そのものを堪能したのはその時と沖縄で飲んだ泡盛の古酒だけでした。しかしそれは接待だからこそ飲めた「お高いお酒」自分でお財布を開けて飲むまではしなかったでしょう。
しかしこの獺祭は違います。ドンペリ並みの新しい「獺祭 磨き その先へ」は借り入れしてでも飲みたいお酒!
「苦労は借金をしてでも買え!」と言われますが「獺祭は借り入れしてでも飲め!」そんな奇跡のお酒です。
勿論「獺祭ってどんなお酒?」というあなたのためにお試しセット(23%、39%、50%3本セット)、気軽に晩酌したいあなたにはお手頃な獺祭もあるのでご安心を。
ただし現在は手に入れるのに時間がかかっています。IT導入で山田錦の生産量が増え欲しい時にすぐ買えるようになることを切に願っています。
あなたの獺祭との運命の出会いはいつ訪れるでしょうか?
倒産の危機から世界へ躍進~会社経理に勘定姫が学んだこと
銀座のおしゃれなお店でたまたま口にした獺祭焼酎。出会いはまさに運命です!
惚れた相手のことはとことん知りたくなる勘定姫は、獺祭を知れば知るほどますますとりこに。
日本酒は飲まなかった私を魅了した獺祭ですが、社員が一丸となって経営危機を乗り越え潰れかけた酒造をここまで繁栄させたのは獺祭の魅力もさることながら、桜井社長の人間性に追うものが多かったでしょう。
しかし、会社は人間性だけでは成り立ちません。経営手腕も必要だからです。運転資金を準備するためには借り入れは避けて通れない道です。
将来性のない会社には銀行はお金を貸してくれません。
酒造素人であっても経営者として類まれな能力を持つ桜井社長の発想や手腕、そして獺祭そのものが将来性を評価され山口の小さな酒造を世界の獺祭へと導いたと言えます。
揺るぎない信念と柔軟な発想
「売れないお酒」を「売れるお酒」にしただけだったら、今の獺祭は誕生せず、旭酒造が存続していたかどうかもわかりません。
お金も技術も市場もないからこそできることを考え実践した桜井氏の思考法からは学ぶことがたくさんあります。
「変えるべきでない伝統は何がなんでも守り抜き、一方で、大事なものを守り抜くために変わることを恐れない」。
「ビジネス上の勝敗は、いかに自分で勝てる工夫が出来るか、(中略)自由に戦略を立てることが出来る」
桜井氏の著書「逆境経営」
日本酒業界では異端児とも言える桜井氏の経営手腕、人間性を知れば知るほど獺祭にのめり込みつい熱く語ってしまいました。
オマケ:東京で獺祭が飲めるお店を幾つかご紹介。
*全国の獺祭が買える店、飲める店の一覧がホームページにありますが変更になっていることも多いのでご自身で必ずご確認ください。
ちなみに勘定姫が獺祭焼酎に出会ったお店はリストにはありませんでした。
魚金 本店 〒 105-0004 連絡先 03-3431-1785
住所 東京都港区新橋3-18-3 第二富士ビル1・2・B1F
くらのすけ 〒 104-0061 連絡先 03-3574-7300
住所 東京都中央区銀座6-3-12 数寄屋ビル3F
日本料理 いらか 銀座店 〒 104-0061 連絡先 03-3574-1707
住所 東京都中央区銀座5-8-20 銀座コアB2F
六本木三丁目 しち十二候 〒 106-0032 連絡先 03-5545-5125
住所 東京都港区六本木3-3-19 B
六本木 倭玄 〒 106-0032 連絡先 050-5522-5399
住所 東京都港区六本木3-11-10 ココ六本木ビル2F
淡悦 〒 107-0052 連絡先 03-5413-8668
住所 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア ガーデンテラス 3F
ほおずき ‐HOHZUKI‐ 〒 107-0052 連絡先 050-5522-6414
住所 東京都港区赤坂4-2-2 赤坂鳳月堂本店ビル3F
魚真(渋谷店) 〒 150-0043 連絡先 03-3464-3000
住所 東京都渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル1F
炉端 五代目よだれ屋 〒 150-0043 連絡先 03-3463-6506
住所 東京都渋谷区道玄坂1-11-1 第2大番ビル104
記事内容は旭酒造ホームページ、公式フェイスブックを参考にさせていただきました。
http://www.asahishuzo.ne.jp/
https://www.facebook.com/DassaiSake
借り入れ~比較と見直しトップへ⇒