夫の厚生年金がもらえる年金の離婚分割が出来てから熟年離婚が増えた、という話も聞きますが単純に考えているとこんなはずではなかったということになりかねません。
離婚に限らず、困った時、いざというときに知らないと損をする自治体などのお助け制度7題。
年金の離婚分割
婚姻期間中の年金保険料の納付実績の一部を分割し受け取れるという制度です。合意分割と第3号分割がありますがだれでもが受け取れるわけではありません。
注意点7項目
・「厚生年金保険および共済年金の部分」に限り,「婚姻期間中の保険料納付実績」を
分割する制度
・「国民年金」に相当する部分や,「厚生年金基金・国民年金基金」等に相当する部分
は対象外
・将来受け取る予定の年金金額の2分の1をもらえる制度ではない
・婚姻期間中に相手方が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合のみ
メリットが有る
・離婚した日の翌日から2年以内に請求する必要がある
・支給開始は65歳から
・分割を受ける人が年金の支給条件をみたしていること(加入期間など)
高額療養費制度
1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、申請すれば超えた額が健康保険から戻ってきます。
例: 月収50万円のサラリーマンが1ヶ月に100万円の医療費(自己負担30万円)を
払った場合、約21万円が戻ります。
申請してから戻るまでかなり時間がかかるので、手術など予め予定がわかっている場合は窓口では差額を支払うだけで済むように予め申請しておきましょう。
医療費は家族の分も合算することができるので、通院、入院などレシートを保存して起きましょう。
また高額療養費制度に該当する月が年に3回以上ある場合は4回目からは自己負担が少なくなります。
注意点: 1回の入院等でも月をまたいでいる場合戻る金額が少なくなることもあります。
例えば最初の月に20万円の請求が合った場合自己負担額は6万円で自己負担限度
額内ですのでこの制度の対象にはなりません。
翌月の支払いが80万円になり自己負担は24万円です。この額をもとに計算する
ので戻る金額は約15万円となります。
傷病手当金
サラリーマンだけの特典です。病気やケガで会社を休み、給料が減額されたりなくなった場合に健康保険から傷病手当金が支給されます。
支給条件は連続して3日休んだ場合で4日めから休んだ日数分、最大1年6ヶ月まで、給料の3分の2,減額になった場合は差額が支給されます。
例: 月給36万円のサラリーマンが180日病気で休んだ場合の支給額は約140万円です。
労災の療養給付
仕事中や通勤などで病気やケガをした時にそれが労災と認められれば労災保険から補償が受けられます。
治療費は全額が支給され、休職した場合は休業給付のの他に特別支給金が受け取れます。障害が残った場合はその程度に応じて一時金や年金がもらえます。
なくなった場合は年金の他に特別支給金が受け取れます。
児童扶養手当
これまで母子家庭だけが対象でしたが2010年8月から父子家庭も対象になった児童扶養手当は、18歳未満の子供を一人で育てている人に自治体が児童扶養手当を支給します。
子供の数や前年の所得で支給金額が決まり現在は子供一人の場合最高で41,700円です。2016年まで段階的に引き下げられ41,020が最高額になります。
支給開始から5年経つと一部減額の仕組みもあります。
障害年金
1991年に学生の国民年金加入が義務付けられた背景の一つがこの障害年金制度です。*
障害年金は年金加入者が障害と認定された時に障害の等級に応じた障害基礎年金が国民年金から支給されます。
サラリーマンなら厚生年金からも障害厚生年金が加算されます。18歳未満の子供がいれば更に加算があります。
国民年金からは年間約99万円、厚生年金からは報酬比例ぶぶに応じた額が支給されます。
年金に加入していれば期間が短くても支給されますが、加入期間のうち3分の2以上保険料を収めていることが必要です。(保険料免除期間を含む)
*現在の法律では20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入しなければいけないことになっています。しかし専業主婦や学生が任意加入だった時代もあり、無年金者や障害基礎年金を受けられない人もいました。
このため専業主婦でサラリーマンの妻の場合は第3号被保険者制度で保険料は払わずに加入期間として計算する仕組みが出来たのです。
平成17年4月から実施されている特別給付金制度では任意加入の期間に加入せず、障害になった場合の補償を福祉的措置としています。
しかし、この措置でも救済できない学生が存在したため、学生も強制加入の対象となった経緯があります。
遺族年金
年金加入者は18歳未満の子供がいる場合は国民年金から遺族基礎年金が受け取れます。サラリーマンの場合は更に遺族厚生年金も受け取れます。
国民年金は18歳未満の子供が居ないと受け取れません。
サラリーマンがなくなった場合の遺族厚生年金は報酬比例部分の四分の三、夫がなくなった時に40歳以上の妻には65歳まで中高齢寡婦加算があります。
例: 30代年収500万円、18歳未満の子供一人の妻がもらえる遺族年金は約150万です。
子供がいない40歳未満の妻なら約50万。
子供がいない40歳以上の妻なら 約110万。(65歳まで)
まとめ
健康保険や年金、自治体の助成金などがあることを頭に入れておくといざという時や困った時に慌てずにすみます。この他にも企業独自の制度や自治体のサポートなども調べておくと良いですね。
ただし、自分から相談する、申請するというアクションを起こす必要があることは言うまでもありません。絵に描いた餅にならぬようしっかり覚えて起きましょう。