5日からの大雪の影響も徐々に解消してきているようですが、まだ孤立状態の場所や停電の影響で生活に支障がある地区もあるそうです。
いざというときに欲しいものは「温かいご飯」と「充電」。一つで同時にそれを可能にしたのが発電鍋です。
1. 停電時の情報伝達に備える以外な電源
携帯ラジオや携帯電話はたいていの家庭にあると思いますが、電池が切れてしまったらもう使えません。
電源の確保が一番大切です。ラジオ、乾電池式の充電器、専用の乾電池は必ずストックしておきましょう。
その他におすすめの電源が有ります。それは…鍋!
ただの鍋ではありません。携帯電話の充電が出来る電力を発電出来る発電鍋です。今や災害時ばかりでなく世界の電源のない地域で大活躍しています。
1-1. 発電出来る魔法の鍋はこうして生まれた
発電鍋が普通の鍋と違うところは発電ができる、ということだけ。お湯を沸かしたり煮炊きをすることももちろんできます。
お湯をわかすことで発電し、携帯電話の充電が可能になるという魔法の鍋です。
発電鍋はベンチャー企業のTESニューエナジー(藤田和博社長)が開発しました。この鍋が誕生したきっかけは2011年の東日本大震災。
夜になってから被災地の映像が伝わってきた。
被災者の方がドラム缶に木材をいれて火を起こし、暖をとっている。
まだ寒い東北。雪も降っている。中略
寒い東北に温かい食べものをつくれる「鍋」を送りたい。
それに自社の熱電技術を取り入れたら、
被災地の電力供給に役立てるのではないかと藤田さんは思いついたのだ。http://colocal.jp/topics/think-japan/kaijirushi/20131008_24564.html
コロカル
*沸騰したお湯(約100度)と鍋の外側の温度(約500度)との差で発電します。最初に製品化したワンダー7では、iPhoneなら約10秒で発電が始まり、フル充電は約1時間でできます。
1-2. アフリカで大活躍の日本の魔法の鍋
最近放映された「世界!なぜそこに日本人」でも「ウガンダの村で大活躍している日本の魔法の鍋」と取り上げられました。
発電鍋のお陰で、
・携帯電話の充電が村で簡単にすることが出来るようになった
(遠くの隣村まで行ってお金を出して充電していた)
・昼間は学校に通えない(農作業などの手伝い)子どもたちが夜勉強できるようになった
など現金収入の少ない人々の暮らしがより豊かになりました。
発電鍋は震災のような非常時、アウトドアなどには需要が有りますが、ビジネスとして考えるとそれだけでは経営は成り立ちません。
販路がない、宣伝予算も無い発電鍋はどのようにして世界で知られるようになったのでしょうか。
きっかけはメディアの利用でした。
藤田さんは記者クラブで「発電鍋」の記者発表をおこなった。
その日のうちにNHKからスタジオでの実演の依頼が来た。それを見た視聴者がTwitterで拡散した。
「発電鍋」は、口コミやSNSで広がっていった
いまやどこにでもコンセントがある。
むしろ薪を使って火をおこすほうが難しい。
その需要は意外なところからやってきた。
世界のさまざまな国の無電化村からの問い合わせだ。
中略
そのとき初めて電気がないところにマーケットがあることがわかった。
特に、アフリカ、あるいはバングラデシュ、インドなどの途上国には
大きな可能性がある。ネットで通販を立ち上げて海外でも買えるようにした。
http://colocal.jp/topics/think-japan/kaijirushi/20131015_25034.html
世界17カ国からの受注、ニューヨークのNPOからもハリケーン・サンディが発生した時に。災害時に活躍することが実証されました。
どんなに良い技術、アイディアがあってもそれを実現するためには人とお金が必要です。
「基礎技術を見つけ、予算を確保したり、ベンチャーの社長を見つけてくる。そんな仕事をしてきました」
という藤田さんが自身で立ち上げたのがTESニューエナジーです。
発電鍋の仕組みと工夫
発電鍋は発電素材を鍋底に入れることで中のお湯と鍋の外側の温度差を利用して熱を電気に変える。
使用する鍋はそれぞれの国のライフスタイルにあわせるので使いやすい
先端技術が新しい価値を持つ商品を生み、そこに市場ができる。
環境に配慮した技術や製品が広がり、最貧国の収入の少ない人の暮らしを支えて新しいライフスタイルを生み出す。
2. 自治体によるインターネット環境の整備がもたらす功罪
今回大雪で孤立した徳島県のつるぎ町と東みよし町ではインターネット環境が整っている(ほとんどの家庭がIP電話利用)ことが逆に災いとなり、停電でIP電話が通じず安否確認ができなかったのだとか。
インターネットの導入で高齢者の健康管理が促進できたり、様々なお知らせなどがどの家庭にも確実に届いたりとその効用は大きいようです。
しかし、停電となると…
暖を取るのにファンヒーターが使えなかったことから石油ストーブが品薄状態になったことは記憶にあたらしいですね。
文明の利器も以外な盲点がある、ということです。
災害時に停電した場合に情報を得る手段は一般的にはラジオ、自治体の防災無線や連絡網、電話等ですが停電となると話は別。
自治体では自家発電設備を備えているかもしれません。しかし個人用の電源に回す余力はないでしょう。
また、個人用の電源確保のために更に設備投資をする予算を確保するのは難しいでしょうし、設置場所や維持管理費も考えなければなりません。
携帯ラジオや携帯電話は電池が切れてしまえば使えなくなります。
固定電話も機種などによっては使えないし、インターネットを使ったIP電話は停電になると機能しなくなる。
町の固定電話がほとんどIP電話で安否確認ができなかったという今回のケースのように、一つの手段だけで運用することの危険性を考え、見直す必要があると言えます。
終わりに
災害時に情報が得られない、ということは被災地も支援する側もどうしたらよいか途方にくれてしまいます。
まして離れて暮らす家族の安否は一刻も早く知りたい、伝えたい。
東日本大震災以後、自治体や個人の防災意識も高まっていますがまだまだ現実にそくした対応は十分とは言えないのが現状でしょう。
東日本大震災の時も被災地への支援が始まってから、携帯の充電器の前には長蛇の列が出来ていました。
一刻も早く無事を離れて暮らす家族や知り合いに伝えたいという思いが伝わってきたことを覚えています。
手近で情報の伝達、収集が出来る携帯電話の電池切れを防ぐために備えたい2つのものは
1. 電池式の携帯充電器
2. 発電鍋
どちらも自家発電設備を新設するのに比べ、はるかに安い費用で導入できるものです。特に自治体では簡単に発電できる発電鍋を防災グッズに追加して欲しいと思いました。
避難所となる場所には発電鍋を常備。「温かいご飯」と「充電」を提供出来るような取り組みが広まると良いですね。
停電に備えて各自が電池式の充電器と電池のストックをしておく、更に自治体も発電鍋の利用、自家発電の備えなど整備の必要性を改めて考えさせられた今回の大雪でした。
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画像はTESニューエナジー オフィシャルサイトhttp://tes-ne.com/Japanese/product/よりお借りしました。