先日報道されていた復数の保険外交員の申告漏れ、明日は我が身かもと身を引き締めた方も多いのでは。
申告漏れは3年で約一億円にもなり、追徴課税は約2000万円とされるのだとか!
経費を削減して上手く儲けたつもりが一転、借り入れでもしなければ払えない税を課せられてしまいました。
そんな事態に陥らないよう、フリーランス、個人事業主が注意すべき2つの事とは?
1.経費として認められる領収書をきちんと揃え管理する
領収書のチェックポイント5つ
・相手先名(あなたの名前または会社名)が入っているか
・金額が正しく入っているか
・日付はきちんと入っているか
・領収書を作成した会社などの住所、名前、社印(印鑑)が押印されているか
・ただし書きに商品名など使い道が記入されているか
確定申告には決算書(計算書類)、貸借対照表(バランスシート)、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの書類が必要ですが一番問題になるのが経費の取り扱いです。
【経費の種類】
決算書等には一般的な経費の勘定科目が予め印刷されていますので科目ごとに経費を仕訳します。
フリーランスや個人事業主の場合、業種独特の勘定科目もあるので、そういったものは自分で勘定科目を定めます。
こちらの記事で勘定科目について説明していますので参考にして下さい。
⇒追徴課税で借入?経費計上で個人事業主が注意すべきたった2つの事
【領収書の記載事項の注意点】
領収書があるからといってすべてが経費として認められるわけではありません。
領収書の記載事項には十分注意して証拠として認められる物を作成してもらう必要があります。
◆経費として認められない領収書~書式に不備があるもの
・宛名がない、あるいは上様と書かれている
・ただし書きが空欄、もしくはお品代など曖昧
・金額が改ざんされたもの
・日付、押印がない
・同じ日付で連番になっているもの(少額資産がらみ)*
◆経費として認められない領収書~用途に問題有りとされるもの
・明らかに個人的な支出
・業務との関連性のない支出
・自宅近辺の店の領収書(が多い)
・目的がよくわからない旅費等
本当に取引があったのかどうか、領収書を作成した相手先に調査が入ることも有ります。反面調査です。
馴染みの店に架空の領収書を作成してもらったりするとここでバレてしまいます。
*少額資産とは10万円未満のもの、試用期間が一年に見たないものをいい、一括で減価償却できます。
これを利用して例えばワンセット21万円のパソコン関連代金(例:パソコン9万円、モニター8万円、キーボード2万円、メモリ増設2万円)の領収書をそれぞれにわけてもらった場合は一組の資産として考えるので適用外です。
この場合領収書は連番となっているので同時に購入したことが判明します。
例えばモニターが壊れたので購入、その後しばらく経ってパソコン本体も買い替えた場合等は領収書の日付が変わるのでそれぞれを少額資産として計上することは可能です。
【 記載事項など注意点の例】
・接待交際費: 相手先の名前、日付は最低限カレンダーなどに記録。
・旅費: 目的、相手先など仕事と説明できるよう記録。
・水道光熱費や通信費など: 個人的な支出と明確に分けられないものは、事業用、個人用の支出割合の按分について事前に税理士や税務署に相談しておく。
【認められない領収書の特徴】
認められない領収書の特徴は
・宛名が特定できない
・支払者、日付が確認できない
・発行者の住所電話番号の記載がない
・店の印鑑に三文判
などですが、これらの領収書はいくらでも量産できるので税務署の調査でより厳しくチェックされることになるのです。
発行者(お店)が本当にあるかどうか調査が入り、実在しない場合は経費として認められないばかりか、重加算税などの余計な税金がかかったりすることもあります。
保険外交員の申告漏れの背景には、現在は廃止されている概算経費率上限40%*を習慣的に使い経費計上していた問題があったようです。
* 約20年前まで外交員の事業収入に対する概算経費率の上限は、国税当局が40%まで認めていました。
現在は実費だけを認めるように切り替えています。
2.領収書が無くても経費計上できるものをすべて利用する
◆銀行口座からの支払い
◆出金伝票を使う
事業に関わる支出で領収書をもらえないケースでも、支払いを証明出来る場合は経費として認められます。
口座からの支払いは通帳に記載が残るので証拠として認められます。事業用の口座として管理すると大変便利です。
出金伝票(100円均一ショップにもあります)は仕事関連の冠婚葬祭費、電車の運賃等領収書がもらいにくい、あるいはもらえない支出の場合に使います。
・支払い日時
・支払い先
・支払額
・支払いの内容
等を記入しておきます。冠婚葬祭等では案内状や会葬御礼状等も保管しておきましょう。
◆その他、経費として計上できる支払い
通常の支払いのほかの経費
光熱費、通信費、賃貸料、車両費、自宅の減価償却費等も按分した額を、また知人等からの借入に係る利子等も経費として算入できますので覚えておきましょう。
自宅を事務所にしている場合
事務所として利用している面積の割合を出し、光熱費等を按分します。住宅ローンがある場合は減価償却費を計上できます。
賃貸
賃貸料の7割を経費として認められているケースも有ります。光熱費等の按分は自宅と同様です。
まとめ
【追徴課税をされないために個人事業主がすべきたった2つのこと】
事業に必要な支払いであること
実際にその支払をしていること
この2点が証明できて初めて経費として認められるということを肝に命じておきましょう。
そのためには記載の不備や、使途不明の領収書にならないように注意する必要があります。
1.経費として認められる領収書をきちんと揃え管理する
2.領収書が無くても経費計上できるものをすべて利用する
上記2つの内容を踏まえ、税務調査で指摘されても慌てないように日頃から経費として認められる領収書をもらう、領収書のない支払いもきちんと管理するという事が大切です。
申告後に経費として認められないものが発覚した場合、追徴課税を課せられます。当該年度だけでなくさかのぼって調べられ、思わぬ追徴額に愕然とすることも間々あるのが現状です。
追徴課税の納付が遅れれば更に利息が膨らみ、期限内に支払うためには借入を余儀なくされる、と言った笑えない話も起きています。(未確認の話ですが、消費者金融よりも高い利息が付くらしい…取り立ても!)
うっかりミスやなあなあの経費管理をくれぐれもしないようにご用心あれ!
人任せも良し悪し、です。必ず自分でチェックしましょう。
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